音楽

HIFI日記:水月雨(Moondrop)MM3A 3インチアクティブモニタースピーカー比較レビュー

一、はじめに

機材をご提供いただいたコミュニティの仲間に感謝申し上げます。今回レビューするのは水月雨(Moondrop)の3インチアクティブモニタースピーカー「MM3A」です。水月雨にとって初の正式なスピーカー製品となるようです。第一弾の作品として、水月雨のスピーカー製造における実際の実力を推し量る絶好の機会と言えます。水月雨は現在、中国国内でも数少ない本格的な音響測定室・実験室を備えたHi-Fiメーカーであり、その初のスピーカー作品には、正直なところブログ主も大いに期待していました。今回MM3Aの比較対象として用意したのは、以前ブログ主が絶賛したEdifier(漫歩者)の「N300」です。ちょうど作業部屋のノートPC用としてN300を使用していたため、そのまま同じ環境で比較レビューを行いました。

なお、デスクトップスピーカーの選び方や、設置・セッティング、音質に関する各種ノウハウについては、ブログ主が以前執筆した解説記事をご参照いただくことをおすすめします。

二、レビューの準備

今回レビューするのは水月雨「MM3A」、3インチのマルチメディアスピーカーです。テスト環境は「PC – USB – MM3A」、比較用も同様に「PC – USB – N300」とし、Bluetooth接続テストでは「Xiaomi 13 Ultra – LDAC – N300」を使用しました。スピーカーの制振には付属の純正フォームパッドを使用し、すべてのテストは一般的な木製テーブル上で行いました。スピーカー間の距離は約80cmです。ドライバーユニットのサイズと出力の制約を考えると、作業机でのこうしたニアフィールド(近距離)セッティングこそが、この3インチ小型スピーカーの本来の正しい使い方であり、スペースが限られたデスク環境のユーザーには非常に適しています。配置はニアフィールドモニターの要件に沿った正三角形配置を採用しました。使用したケーブル類はすべて標準付属のものです。

レビューに先立ち、いくつか説明しておくべき点があります。まず第一に、本稿執筆時点において、スマートフォンのBluetooth接続でLDACを有効化することができず、LDACをオンにする項目が一切見当たりませんでした。取扱説明書にも切り替え方法の記載がなく、専用スマホアプリ内でも設定項目が見つかりませんでした。第二に、Bluetooth接続時の音の傾向とPCにUSB接続した際の音の傾向には大きな違いがあり、どちらが優れているかを一概に言い切ることはできません。本機がモニタースピーカーとして位置づけられていることを踏まえ、本レビュー記事ではUSB接続をメインに検証を行い、結論部にてBluetooth接続に関する情報を補足します。なお特筆すべき点として、記事執筆の直前にMM3Aのファームウェアがアップデートされたため、本レビューはファームウェアバージョン「1.2.5」に基づいています。これは以前の「1.2.3」ファームウェアからサウンドが大きく変化しているため、旧バージョンの音を「幸運にも」聴いたことがある方はご留意ください。最後に、スピーカーのサウンドモードは「モニター(Monitor)」を選択して試聴しています。

三、試聴曲/評価方法

試聴曲にはブログ主が普段よく聴いている楽曲を選定しており、リスニング傾向としては概ね50%が日本のACG音楽、30%がポップス、20%がクラシック音楽となっています。採点基準は劉漢盛氏の「オーディオ20の要点」をベースに簡略化したものを採用しています。評価方法やテストシステムは随时アップデートされています。また、新しくオープンしたコミュニティレビュー(公募採点)プラットフォームでは、DDCからDAC、ヘッドホンからスピーカーまで様々な製品のスコアを閲覧できるほか、皆様ご自身のスコアの投稿も歓迎しております。ぜひチェックしてご活用ください。

四、試聴テスト開始

ブランド型番発売時期レビュー時期発売時価格(¥)バランス器楽音質ボーカル音質解像度密度/音場音像定位ダイナミクス総合得点(100点満点)
漫歩者(Edifier)N3002024-052024-10¥746555554548.2
水月雨(Moondrop)MM3A2026-082026-08¥699464555446.4

1、楽曲名:上海紅茶館 (Chinese Tea)、アーティスト:TAMUSIC、アルバム名:東方子守唄

続いて難易度を上げ、複数楽器のアンサンブルにおける全体的な調和を検証します。より複雑な編成において、MM3Aはやや課題となる挙動を見せました。本曲のピアノの録音レベルが前の曲よりも低いため、ピアノの音像の距離感、ダイナミクスの幅、音圧レベル、そしてディテールの描写が全体的に後退してしまいます。十分な聴き応えを得るために、ブログ主は音量ノブを大幅に上げざるを得ませんでした(テスト中、満足のいく音圧とダイナミクスを得るにはほぼフルスケールの「100」近くまで回す必要がありました)。これによって問題はある程度緩和されたものの、間接的に上流(音源・DAC側)のフロアノイズまで増幅されてしまいました。一方のN300はまさにその逆です。MM3Aのような緻密な音像の輪郭描写こそ持たないものの、その引き換えとしてよりスムーズで音楽的な躍動感と訴求力を備えています。全体的にN300のダイナミックレンジの余裕(ヘッドルーム)と音圧出力はMM3Aを上回っており、編成の大きいパートでもより余裕を持って鳴らすことができています。

2、楽曲名:天空の悲恋歌、アーティスト:TAMUSIC、アルバム名:東方バイオリン1

さらに一段と難度を上げ、多種多様な楽器同士の調和度合いをチェックしてみましょう。難度の高い器楽表現において、MM3Aのサウンドにはやや気になる小さな問題が現れました。ピアノの録音音圧が前の曲よりも小さいため、ピアノの音像の距離感、ダイナミクス、音圧、ディテールがそれぞれ弱くなってしまうのです。試聴において、ブログ主は音量を大きく上げることで(テストでは満足のいく音圧とダイナミクスを得るために100まで引き上げる必要がありました)、この問題をある程度緩和させました。N300はちょうど対照的で、MM3Aほど繊細な結像力はないものの、より滑らかで情緒あふれる音楽性を届けてくれます。全体的なダイナミクスと音圧感においても、N300のほうがMM3Aより一枚上手です。

3、楽曲名:为了你唱下去、アーティスト:Akie秋絵、アルバム名:为了你唱下去

これはブログ主が最も愛聴している洛天依(Luo Tianyi)の楽曲の一つで、その歌詞は聴くたびにいつも胸を熱くさせてくれます。N300とMM3Aのボーカル表現の違いも、ここで大きく浮き彫りになりました。ボーカルはリスナーの注意の大半を引きつけるため、N300のエモーショナルで厚みのある濃厚なボーカルという持ち味が、大きなアドバンテージとして際立ちます。これに対し、MM3Aのボーカルはよりドライですっきりとしており、混じり気のない、いわゆる「モニター的なドライサウンド(素の音)」の傾向が顕著です。こうした音作りは一概に優劣を論じられるものではありません。音楽制作の現場においては、レコーディングエンジニアや制作者がボーカルトラックの粗を的確に見抜くのに大いに役立ちます。しかしその反面、再生機器としての課題も露呈しやすくなります。MM3Aはボーカルの定位・結像こそ悪くないものの、ふくよかさや立体感に欠けるという弱点が、様々なボーカル楽曲で共通して現れていました。

五、総括

読者の中には、「MM3Aがモニター志向なら、N300のチューニングは原音忠実(Hi-Fi)ではないということか?」と疑問を抱かれる方もいるかもしれません。しかし、そう単純な話ではありません。両機はいずれもエントリークラスのスピーカーであり、それぞれ物理的なアコースティック特性の限界を抱えています。例えば、MM3Aの高域は潤いや伸びやかさに富んでいるとは言えませんが、N300の高域はやや明るめながらも、実際の聴感上の抜けと浸透力において確かに勝っています。低域においては、MM3Aのドラムの量感やダイナミクスはN300に対して大きなアドバンテージはないものの、楽器の実体感や質感(ボディの共鳴感や輪郭の明瞭さ)の描写力では、はっきりとN300を一歩リードしています。総じて、N300は情熱的で開放的です。厳格な原音忠実再生とは言えないかもしれませんが、聴き心地がスムーズで楽しく、エモーショナルな魅力に溢れています。対するMM3Aは冷静沈着でストイックであり、一部の器楽編成では見事な表現力を発揮する反面、より複雑な音源環境(特に音源自体に強いコンプレッションがかけられている場合)では、音の密度、ダイナミックレンジ、微小ディテールの解像力に限界が見えてしまいます。

率直に申し上げて、この2つのスピーカーの総合力はほぼ互角と言えます。ただ、N300は自らの短所を得意分野でうまく覆い隠す術を心得ており、その結果として適合する楽曲や使用シーンがより広範です。対照的にMM3Aは極めて愚直であり、強みを発揮する場面では価格帯を超えた卓越した実力を示す一方で、弱点となる部分では思わず苦笑いしてしまうような脆さを露呈します。そのためMM3Aが活躍できる音楽ジャンルの守備範囲はN300よりもやや狭く、特に映画やゲームの用途ではMM3Aにアドバンテージはありません(なおゲーム用EQ等のプリセットはテストしていません。ブログ主がいちいち切り替えて使うはずもありませんし、そもそもPC環境では切り替えが煩雑だからです)。総じて言えば、MM3Aは良いスピーカーです。N300の情熱的で陽気なキャラクターとは異なり、冷静で緻密なサウンドによって500元クラス(約1万円台)の中で確固たるポジションを築いており、ユーザーに優れた選択肢を提示してくれています。両スピーカーの特性についてはブログ主なりに明確に整理できたと思いますので、どちらを選ぶかは皆様のニーズ次第です。

追記(PS):どうしても吐き出さずにはいられないのですが、ファームウェア1.2.3の時点で、ブログ主はすでにレビューを完全に書き上げていたのです!それなのに1.2.5へのアップデートが入った途端、サウンドが本当に激変してしまいました。おかげでブログ主は第一印象の感覚をリセットして耳をチューニングし直すのに大変な時間を取られ、魂を削って書いた原稿まで無駄になりました!そこで、水月雨のこのユーザー泣かせな仕打ちにツッコミ(DISS)を入れるべく、当初執筆していた幻の第1版まとめをここに晒しておきます:

ダメだ、はあ……ダメです!ブログ主が忖度やバランス取り(両立ての配慮)ができないのかと言われれば断じてそんなことはなく、ブログ主自身の文章表現力も一応は義務教育レベル以上はあるつもりです。しかし、水月雨の記念すべきスピーカー第1弾であるMM3Aを前にして、ブログ主はどうしても「素晴らしい」の一言を絞り出すことができませんでした。長所がまったくないわけではありません。むしろMM3Aからは、「真に優れたスピーカーを作りたい」という水月雨の真摯な熱意が痛いほど伝わってきます。しかし実に惜しいことに、良い製品というのは熱意や願いだけで形になるものではなく、何百万円、何千万円もかけた音響測定室・実験室があればそれだけで作れるというものでもないのです。

MM3Aは昨今の安易な大衆受けに迎合することなく(厳密には他にも多彩なEQプリセットが用意されていますが)、いわゆるドンシャリ(低域・高域強調)のチューニングを避け、極めてまっとうで健全なサウンドをリスナーに届けようと奮闘しています。これはモニタースピーカーとしての己の立ち位置に忠実であり、水月雨の強いこだわりと野心が確かに感じられます。しかし問題は、500元(約1万円台)前後のスピーカーに対して、水月雨らしいモニターチューニングと卓越した基礎音響性能の両立を求めるのは、物理的に「あまりにも無理難題」だということです!距離を取ったボーカル配置は、ポップス特有の「耳元にベタ貼りするような近すぎるボーカル」を回避できる反面、伴奏との背景分離や音像定位に対してよりシビアな解像力を要求します。小音量時の微小なマイクロダイナミクスに配慮すれば、今度は大音量時のダイナミクスが破綻してついていけなくなります(これはアンプ出力やユニット設計の制約もあるでしょう)。この「思いはあるのに力が追いつかない」というもどかしさが、MM3Aの試聴中ずっと付きまとい、ブログ主は何度も深くため息をつかされました!

したがって最後に、ブログ主が言える結論としては、MM3Aは水月雨が今後のスピーカー製品開発の長い道のりにおいて、真正面から踏み抜いてしまった「最初の大きな落とし穴」であったということです。この落とし穴は、購入を検討している方や既に購入されたユーザーのみならず、水月雨自身にとっても手痛い教訓となりました。これが水月雨の今後のスピーカー展開への意欲を削ぐことのないよう願うばかりです。市場には水月雨の次なるスピーカーの登場を温かく見守るだけの十分な余裕と期待がありますし、ブログ主も彼らの次なるプロダクトに大いに期待しています。

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